受賞者

令和2年度<風戸研究奨励賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題:異種細胞間結合のアレイトモグラフィによる3次元微細構造解析

久留米大学 医学部 講師
平嶋 伸悟

平嶋伸悟氏の研究は、FIB/SEM tomography法を主とする Array tomography法をベースとした三次元イメージング法を用いて、骨およびコラーゲン線維束関連異種細胞間における接着装置・結合の同定及び骨・歯周靱帯形成における異種細胞間細胞性ネットワークの機能形態学的特徴を解明しようとする研究です。

歯根膜(歯周靱帯)は歯の周囲に存在するコラーゲン線維束主体の結合組織で、歯根膜線維は歯 − 歯槽骨間を走行し、その両端はセメント質・骨にシャーピー線維として鋲着する特殊構造です。これによって歯の顎骨へ固定や咬合力の緩衝、感知に関わることが知られています。平嶋氏はこれまでに、セメント質歯根膜骨にわたる異種細胞間ネットワークの存在について多数の論文報告を行っており、その結果から、異種細胞間の接着装置・結合様式に関しては未だ十分に解明されていない不明な部分が多々あることを提起するに至っています。

平嶋氏は、FIB/SEM tomography法を主とする Array tomography法の有用性に関して、これまでに同氏が所属する久留米大学医学部顕微解剖学講座顕微解剖・生体形成部門において、同法を用いた研究において中心的研究者の一人としてその方法の基礎と応用に関する数多くの成果を発表、論文化してきました。今回の平嶋氏の研究目体は、これらの学術的集積を基盤として、コラーゲン線維束・骨関連細胞の異種細胞間接着装置の詳細を機能形態学的に解析し、異種細胞間の接着装置・結合様式を明らかにしようとするものであり、所期の目標を達し得るものと評価され、期待されます。平嶋氏が目指している課題は、さらに骨と靱帯や筋肉腱骨複合体などの異種細胞間などの幅広い分野での組織形成機序解明やそれらの基礎研究を基盤とする臨床応用へも貢献も期待されます。

よって、今後の研究の一層の発展を期待して、ここに風戸研究奨励賞を贈呈します。

平嶋 伸悟
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