受賞者

平成24年度<風戸賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題「電子顕微鏡法による新規細胞内小胞輸送経路の解明」

(独)理化学研究所 植物科学研究センター 基盤研究 上級研究員
豊岡 公徳

 豊岡公徳氏は、ほとんどの生物の細胞内小器官(オルガネラ)である小胞体とゴルジ体を中心とした、細胞内の小胞による物質輸送経路を、免疫電子顕微鏡法や高圧凍結技法、蛍光ライブイメージング法を用いて研究し、その成果をJ Cell Biol.や Plant Cellなど評価の高い雑誌に発表し、高い業績を挙げてきました。

主な成果は:
1)アズキ発芽子葉を用いて、タンパク質のアミノ酸C末端に小胞体残留シグナルを持つ貯蔵タンパク質分解酵素は、小胞体から出芽した直径500nmの小胞により、ゴルジ体を経由することなく直接液胞へ輸送されること、他方、貯蔵デンプン分解酵素は小胞体からゴルジ体を経て、液胞へ輸送されることを明らかにしました。
2)アズキ発芽子葉のデンプン顆粒などのオルガネラは、細胞内の膜構造体によって隔離され、液胞で分解される一連の過程“オートファジー”によって消化されることを明らかにしました。その過程では、オルガネラが液胞内に取り込まれ、小胞体からゴルジ体経由または直接液胞へ輸送された分解酵素により消化されて最終的には細胞死に至ることが分かりました。さらに、タバコ培養細胞系を用いて、膜構造体の可視化や同定を試み、凝集タンパク質の分解経路を詳細に解析しました。
3)タバコ培養細胞の分泌タンパク質や細胞壁成分は、分泌小胞のクラスターによりゴルジ体を経て細胞外へ分泌される輸送経路を明らかにしました。

 豊岡氏は、このように複数の新規な小胞輸送経路を発見し、細胞内の物質代謝機構の解明に大きく貢献されました。最近では、さらに多くの研究者と共同で、網羅的な電顕像撮影技術の開発を進め、発生・分化や環境変化に伴う植物組織・細胞の小胞輸送経路の解明を精力的に進めています。


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豊岡 公徳
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