受賞者

平成27年度<風戸賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題:「電子顕微鏡法を用いたシナプス小胞再形成のメカニズムの解析」

ジョンズ・ホプキンス大学医学部 細胞学科 アシスタントプロフェッサー
渡辺 重喜

渡辺重喜氏の研究は、神経シナプスにおいて神経伝達物質を格納する小胞(脂質膜からなる袋)が、神経活動に応じて神経細胞の膜と融合して神経伝達物質を放出した後、どのような機構で小胞として再び神経細胞内に戻るのかという疑問に答えようとするものです。

渡辺氏は、青色の光によって神経細胞を刺激することができるチャネルロドプシンを発現させた神経細胞を、青色LEDで刺激した直後に加圧凍結し、シナプス小胞がシナプス前膜に融合した後の状態を観察することに成功しました。その結果、刺激後、短い時間で、大きめの小胞が回収され、ついで、その小胞がエンドソームを介してシナプス小胞が形成されることを解明しました。この機構を「超高速エンドサイト―シス」と名付けて、Nature誌に発表しました。さらに、標的タンパク質の局在を細胞小器官などと対応させて観察するために、超解像蛍光顕微鏡の像と電子顕微鏡の画像とを相関させて観察する方法を用いて神経細胞の研究を進めております。

この様に、渡辺重喜氏は、神経細胞終末での現象を理解するために、新しい電子顕微鏡観察技術を独自に開発し、その技術を用いて高いレベルの研究成果をあげました。シナプス小胞再形成の機構については、混乱した状況となっていましたが、それを変えることが期待される説得力のあるモデルを提唱しました。それゆえ、すでに多くの招待講演も依頼されて実施しており、国際的にも高く評価されております。


Johns Hopkins University(米国) Department of Cell Biology

渡辺 重喜
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