受賞者

平成26年度<風戸研究奨励賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題:光・電子相関顕微鏡法のためのプローブ開発と細胞イメージング応用

大阪大学 大学院 基礎工学研究科 助教
新岡 宏彦

新岡 宏彦氏の研究は、カソードルミネッセンス(CL: Cathodoluminescence)を活用することにより、近年注目され始めている、光・電子相関顕微鏡法(CLEM: Correlative Light and Electron Microscopy)に役立つ可能性があるプローブ技術を確立しようとする計画です。
生物分野において、光学顕微鏡技術の発展は目覚ましいものがあり、特に蛍光タンパク質技術の発展によって、分解能の向上をはじめ特異的な分子をラベルする技術など、生物学分野の研究には欠かせない手法になってきております。しかし、空間分解能という観点からは、電子顕微鏡による観察が重要であることは変わっておりません。特定の分子をラベルすることによって、様々な試料を様々な方法で観ることができる光学顕微鏡で観察した同じ試料部分を、電子顕微鏡でさらに詳細に観察することができると、飛躍的に広い応用分野での活用が期待されます。
このCLEMを実現するためには、蛍光顕微鏡で観察できて、電子顕微鏡観察においても高いコントラストを与える、できる限り小さい粒子プローブの開発が望まれています。新岡氏は、Y2O3を母材とし希土類イオンを導入した粒子を使って、CL像をも観察できるプローブを開発しようとしています。現状では、CLは発光強度が粒子径に強く依存するので理想的な粒子径より大きくしなければならない問題や、特定の分子を確実にラベルするための抗体法などを活用した特異的ラベル法の開発を行う必要があるなどの問題が存在しています。それゆえ、この新岡氏の研究計画が成功するためには、いくつかの困難な問題を解決しなければならないことを選考委員会は明確に認識しております。 しかし、上記の様に、CLEMは顕微鏡分野が進むべき1つの重要な方向であり、CLを用いたプローブ開発は挑戦すべき研究課題であるので、選考委員会は「奨励賞」という賞のあり方をも念頭に置いて、進むべきと思われる方向での挑戦的な研究課題を積極的に奨励するという理由から、新岡 宏彦氏の研究計画を高く評価すると共に、研究の発展に期待しております。


大阪大学大学院・基礎工学研究科・機能創成専攻 三宅(淳)研究室

新岡 宏彦
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